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ーーー本編は以下から

月額5万円の顧問契約。

内容は週1回1時間、営業や起業についてのカウンセリングを月4回、

人材マッチング、商流紹介、であった。

提案書は自作のコンサルタント経歴書。

そして、立ち振る舞い、話術で相手を落とす。

信頼関係については、SNSで発進していた”見せたい自分”の情報とメールでのやり取りである程度構築出来ていた。

便利な時代である。

顧問契約書を1枚ペラ、相互署名捺印し(法的には記名より署名の方が良い)、それぞれ1部を保管。

基本契約期間は1年だが、1ヶ月前に辞める旨を書面で伝えない限りは自動的にもう1年延長。

その様な内容だった。

一般的な2Bの顧問契約は、月1度の”コンサルティング”と称したただの雑談のみで月数十万取る様な業界。

俺は”コンサルティング”という言葉が安っぽくて嫌いだった。

”コンサルタント”は名乗ったもの勝ち、にも関わらず相場が存在し、更には単価も高い。

これほど便利な肩書きも無い(ちゃんと適性料金でコンサルティングを行っている方も少数ではあるが居ます)。

一時期の名古屋では”コンサルタントになる為のコンサルティング”なるビジネスが流行っていたが(まだ有るのか?笑)、要はそんな人間と同一視して欲しく無かったというのが本音である。

仮にも、こちらは東証一部の会社員を経験し、出世、営業実績も積んでいる。

ロクな経歴も無く、ちょっとした高額自己啓発セミナーに参加し”出来るつもりになった”洗脳体質の”コンサルタントさま”をどこかで馬鹿にしていたのだろう。

いや、卑下していたに近い。

そんな人間にはなりたくない。

創業当初、ボロこそ着てはいたがそういったプライドだけは捨てては居なかった。

こっちにはキャリアがあるんだ、単価の根拠もあるんだ、実績の証拠もあるんだ、とね。

「襤褸は着てても中身は錦」

そんな大層なものでは無かったが、捨てられない仕事人としての矜持は確かにあったのだ。

営業開始後1ヶ月以内に顧問契約を数件結ぶ事に成功し、某外資クレジットカード会社の日本支社とも営業契約を結んだ俺は、徐徐にではあるが確実に階段を登り始めていたのだった。