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起業コラム 第1回
起業コラム 第2回
起業コラム 第3回
起業コラム 第4回
起業コラム 第5回
起業コラム 第6回
起業コラム 第7回
起業コラム 第8回
起業コラム 第9回
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起業コラム 第11回
起業コラム 第12回
起業コラム 第13回
起業コラム 第14回
起業コラム 第15回
起業コラム 第16回

ーーー本編は以下から

いよいよ手持ちも無くなった。

本当に無くなった。

全財産4,000円を切り崩し、バーの歩合で小銭を稼いで数ヶ月、廃棄弁当生活でなんとか食いつないで来たものの・・・。

ついに全財産800円を切っていた。

俺は、その800円を握りしめ、名古屋駅に向かった。

駅についた頃には残り数十円になっていた。

そこから栄に歩いた俺は、当時身に付けていた黒ダミエのショルダーバッグ、グッチのポーチ、黒ダミエの名刺入れ、長財布を質屋に持っていった。

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それぞれ思い出の品であり、名残惜しさが無いわけでは無いが・・・。

命には換えられない。

合計10万円ほどを得た俺はふと思った。

これでやっと身分相応だなと。

少し前の俺、数千円しか入って居ない10万円の財布。

羊頭狗肉とはこのことだな・・・。

振り返って当時を滑稽に思えた俺は、手放した事で何かに救われた気持ちになった。

何も身に付けていない、自分。

もう無くすものは無い。

見栄すら張れない。

あるがまま、そんな自分を曝け出すしかない。

攻めるしか無い。

裸の一万円札の束を握りしめ、そう強く思ったのだった。