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起業コラム 第1回
起業コラム 第2回
起業コラム 第3回
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起業コラム 第5回
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起業コラム 第14回
ーーー本編は以下から
それはほぼ毎日の事だったが、朝6時くらいに人の気配がし、目が覚めることがあった。
当時、俺たちが住んでいたアパートは全6戸の2階建て木造アパート。
マンションやアパートなどの賃貸物件は防犯、景観面の理由もあり上層階から入居が決まるのが定石ではあるのだが、このアパートだけは違った。
元々の紹介元も表の人間ではなさそうな風評を耳にしていたし、大前提”訳あり”物件なのだから多少の違和感があったとしても頷けはしたが。
それにしても、少し珍妙な状況ではあった。
2階は1フロアがら空き、1階は2部屋が隣同士で埋まっている。
つまり、全6戸中、入居しているのは1階の2部屋のみ。
俺たちの部屋と、その隣の角部屋のみだった。
冒頭の人の気配なるものも、毎朝6時頃に隣人が物音を立てながら出勤?をする時の”それ”に他ならなかった。
そして、隣の部屋は間違い無く1人暮らしでは無かった・・・、いや、”1人暮らしじゃない”どころの騒ぎではなく、下手をすれば4〜5人で住んでいる気配がある。
にも関わらず、この物件に住んだ約6ヶ月の中で、一度も顔を合わせたことも無ければ、すれ違ったこともなかった。
隣同士で住んでいるのに、そんな事ありえるのだろうか。
しかも4〜5人も住んでいるであろう、大所帯にも関わらず、だ。
そして何より、不気味さを掻き立てたのは、その部屋の外観である。
真冬にも関わらず、窓は悉く割れていた。
すきま風が吹くどころではなかった。
至る所が割れて、ガラスが散らばった窓。
複数人住んで居るはずなのに、一度もすれ違った事すらもない。
時たま感じられる、不気味な気配。
俺とタクヤは様々な憶測をしたが・・・。
確かめる由が無かったのは言う迄もない。
彼?らの得体、そして真相は闇の中なのである。