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ーーー本編は以下から

今から10年以上前になる。

初めて営業という世界に飛び込んだ時の事だ。

と、言っても最初は営業をするとは思ってもみなかったのだが・・・。

当時京都市内に住んでいた俺は、四条烏丸の交差点を少し上がった(京都では北に行く事を”上がる”南に行く事を”下がる”という。)所にあるローソンに入った。

目的は求人誌を手に入れる為だ。

「家庭教師のテレホンオペレーター」

『テレホンオペレーター・・・?なんだそれは。』

これは営業ノウハウにも言える事だが、人は”疑問符”に弱い。

キャッチコピーは相手に「疑問符”?”」を持たせたもの勝ちである。

そして19歳当時の俺は不確にも、求人誌面の隅っこに申し訳無さそうにあった画像すら無い、最小サイズの求人欄に興味付けをされたのだった。

さっそく電話をすると”N”と名乗る20代後半から30代前半くらいの声色の男性が出た。

『ほな、面談しますんで、一回事務所来てくれはりますか?』

”N”と名乗るその男性はそう言うと、面談候補日を何個か俺に伝えた。

面談当日を迎えた。

その事務所は、四条烏丸の交差点から徒歩5分くらいの小路沿いにある雑居ビル空中階にあった。

1フロア30坪弱、その中に開閉式の白いパーテーションで囲まれた部屋(会社)が6つあり、その中の1つが目当ての会社だった。

ドアをノックすると、中には男性達が必死に電話をかけている。

中には屈強な体躯に入れ墨を露出させた男も居る。

俺は一瞬たじろいだ。

『あ、泉さん・・・ですか?私が”N”です。』

後ろから声をかけられ俺が振り向くと、そこには背の高いやせ形の30歳前半くらいの男性が立っていた。