例えば電話対応などをするとして、普段の声とあからさまに声色が変わる人間である。

よく接客マニュアルには「1トーン声を高くして・・・」などと記載してある大手企業は多いだろうが、どこまでいってもそれは接客マニュアルだからである。

人を本当の意味で育てる事を放棄した、言い方は悪いが十把一絡げな人型ロボット製造プログラムにそんな気の利いた事など書く訳が無い。

ロボットに意思を持たせてはいけないのだから・・・。

100人中、95人がその通りにしていれば、会社としては廻る、使用する側としてはそれで充分なのだ。

しかしながら、それが自分の腕で勝負をするなら話は別となる。

ノルマや目標を背負った営業職、起業家なら尚更である。

人は、普段からしている事じゃないと無意識に発揮する事はできない。

護身術など最たる例だろう。

「相手が刃物をもって、こうきたら、こう返して・・・」などと実践で悠長に考えていたら瞬く間に刺されてしまう。

”意識的に何度も繰り返し、無意識でも出来るようになる”

そこまで体得してこそ、実践では活きてくる。

意識しないと出来ない事は実践では何の役にも立たない。

先ほどの例に戻ろう、それこそ「電話をかける時は1トーン声を高くして・・・」などとマニュアル通りに意識的に行っているからそうなるだ。

愚直さの使い方を間違えている典型だろう。

同様に、人は極度の緊張をすると声のトーンが上がるという。

電話営業にしても、それこそ1日何百回転もさせるコールに毎回極度の緊張が走っているような営業マンに仕事が出来る訳がないのだ。

なぜなら、本来の営業とは”日常の延長線上”にあるものなのだからだ。

営業は日常コミュニケーションの応用。

つまり、日常的な会話も営業時のトーク練習にすり替える事が出来るのだ。

本来の営業に向いている声というのは、落ち着き・ゆっくりとした・低い声である。

よく”抱かれたい芸能人ランキング”で上位に入る福山雅治や木村拓哉、EXILEの面子を見ても頷けるだろう。

女性を口説くことと、お客さんを口説く事は表面上は違うように思えて、心理は同じである。

声が高く、早口で、普段遣いでは無さそうな違和感がある口調のトップセールスマンは存在しない。

世を席巻するトップセールスマンは皆総じて自然体なのだから。

そして応対したお客さんは皆口を揃えて「営業されてる感じがしなかった、気付いたら申し込む流れになっていた」と言うものだ。

それが真の営業だと私は考えている。

会社にとって、起業家にとって、仕事が出来る=営業が出来ると定義しても過言ではない。

事務作業など、間接部門でいくら仕事が出来たとしても営業が出来なければ当然売り上げは上がらない。

そうなれば会社は倒産するだけだからだ。

無い袖は振れない、起こった事しか起こらない様に世の中は出来ているのである。

営業職の諸君、今一度、自身の営業スタンスについて鑑みる時間を設けてはいかがだろうか。