この話は、私が一般社員からエリアマネージャーになるまで勤めた、日本一の体育会系営業会社、株式会社H通信で過ごした20歳〜25歳までの実録である。

THE SALES

〜元○戦士トップセールスが語る、実録・営業日誌〜

第1話 

『面接』

私は、数日前に新調したばかりのスーツに袖を通し、とある会社の面接会場に向かった。

その会場は大阪は通称”梅田”にあるシティーホテルの空中階にある。

1階の踊り場でエレベーターを待っていると、恐らく同じ企業の面接に向かうであろうスーツを着こなした数人に遭遇した。

皆、物珍しそうな顔で一瞬私を見ると、一様にすぐ目を逸らしていった。

それもその筈で、実はこの時、私は人生で初めてスーツを着て面接を受けたのだが、今まで、アルバイト先の京都市内にある飲食店以外ではまともにビジネススーツを着たことが無かった私は、

お世辞にも採用面接に向いてるとは言えないテカテカのシルバーのスーツ上下に派手なネクタイ、当時流行っていた先の尖った革靴、そして挙げ句の果てには真っ白なバーバリーのベルトという出で立ちで、有ろう事か東証一部上場企業の中途採用面接会場に乗り込んでいた。

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しかも、上場企業の中途採用会場だけあり、私以外は皆30代後半のいかにも”出来るビジネスマン”のオーラを漂わせた人ばかりだった。

私も馬鹿なりにそんな面子に負けじと肩を怒らせながらエレベーターに乗り込み、面接の受付を済ませると、

〈株式会社H通信中途採用面接試験会場〉

そう書かれた張り紙がある会議室に入った。

そこには大きなスクリーンが掛けられており、プロジェクターでこれから面接を受ける事になるH通信の会社概要・事業概要の説明用DVDが映し出されていた。

従業員人数Grp合計2万人、年商5,000億、全国拠点1,000以上、、、など今まで聞いたことの無いような規模の情報に、20歳そこそこの私は圧倒されると同時に、

未知なる大企業での広大な可能性に対し『絶対この会社の面接に受かりたい、この会社で名を挙げてやる』と心を踊らせていた。

〈泉了さん、お入りください〉

胸を高鳴らせている私の耳に、面接官と思われる若い女性の声が飛び込んできた。

私が少し緊張した面持ちで面接室のドアを開けると、そこにはまさに”キャリアウーマン”という出で立ちの、黒ぶちメガネをかけた30歳前後の容姿端麗な女性が座っていたのだった。

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(文=泉了 写真はすべてイメージです)

営業処方箋 -実践家のための徹底使い切りBOOK

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著者/泉了 刊/グットタイム出版 定価1,000円

内容紹介
営業処方箋というタイトル通り、営業活動を成功させるために重要なエキスを、これほど簡潔にわかりやすくまとめた書籍は貴重な存在と言える。「実践書」というコンセプトにふさわしくサイズもB6版のポケットサイズに仕上げられており、毎日の営業活動にも携帯できる「使える実践書」である。能書きをだらだらと述べる本ではない。その意味では従来の営業ノウハウ本と一線を画しており、読破するのに時間はかからないが読み返すほどに手放せなくなる営業パートナー的存在となるだろう。営業の定義から始まり、マインドセット・目標設定・ラポール構築・営業アプローチ・クロージングの各段階について、考え方と具体的な営業技術が「即実践」できるように解説されている。営業経験の浅い読者にとっては基本の再認識と体得、長らく営業現場に身を置く読者にとっては自分自身の営業プロセスの再確認と問題点の発見及び具体的な改善・解決方法を見いだせる指南書=文字通り営業処方箋となるであろう。読めば読むほど、実践すればするほど本書に対するコストとPOI(投資回収率)が上がるようにという著者の誠実な執筆姿勢が伝わってくる。本文全右ページに「読書回数チェック欄」が設定されており、読者の皆さんにはぜひ「わかった」レベルから「できた」レベルまで、本がボロボロになるほど使い切ってもらいたいというのが著者の望みであろう。(S.O)