研修2日目、俺は出勤し、オフィスの入り口横にあるタイムカードを押した。

 

ブブブ、ブ。

タイムカードの打刻音が事務員だけのオフィスに響く。

今日も、営業マンは全員出払っていた。

前日と同様に会議室に通された俺は、室長の山田を待っていた。

ダークブラウンのシックな壁材で出来た会議室。

ガラスの長テーブルには10脚ほどのゆったりとした椅子が配置され、奥の壁にはテレビ会議用だろうか大画面の壁掛けTVがある。

反対側の奥にはローテーブルとソファの席があった。

俺は触れたら指紋が付くくらいに綺麗に掃除されたガラステーブルの席に腰を掛けながら、今日の試験範囲を暗唱していた。

コンコンコン。

 

扉がノックされ、事務員が入って来た。

丁度初めてオフィスを訪れた時、応対してくれた女性だ。

俺の目の前にアイスコーヒーの入ったクリスタルグラスが置かれる。

『頑張ってね』そう言い、事務員は会議室を後にした。

緊張で乾いた喉に、冷えたアイスコーヒーが注ぎ込まれる。

一瞬で頭が冴えた気がした。

ガチャ。

 

今度はノック無しでドアが開く。

そこには室長の山田が立っていた。

ほな、試験始めるでー!

 

続く。