全財産4,000円、カネ無し、コネ無し、ガクレキ無しの三拍子の俺が辿り着いた街、名古屋。

週末の繁華街の喧騒を横目に、一人マクドナルドで100円バーガーを頰張る俺がいた。

ハンバーガーと言えど、所詮は100円バーガー。

ボリュームなどたかが知れており、すぐ完食した。

もちろん、満腹感など得られようも無い。

だが、これ以上食べる事は出来なかった。

全財産4,000円。

あと何日持つか?

 

1日100円生活をして1ヶ月と少し、もちろん、生活費全て込みで1日の予算上限は100円だった。

当然、泊まる場所も無い。

どうする?

路上生活なんてした事ないぞ?

そう言えば、昔ホームレスを対象にアンケートを取った本が売っていたっけ。

その本によれば、ホームレスの前職で一番多いのは意外にも自営業者、その次が大手企業に務めるサラリーマン。

はははは。

まさに、俺がそうじゃないか。

東証一部上場企業、最後は支店長までいった。

それが何があったらこうなるんだ?

いや、原因は分かっていた、痛いほど。

人生って何があるか分からない。

 

痛いほど痛感した瞬間だった。

もうホームレスを見ても笑えないな…。

人が笑えるのは、非現実的な経験を客観視できるからだ。

自分自身がホームレスに身を落としたしまった以上、もう笑う事など出来ない。

笑う資格も、余裕も無い。

明日をどう生きるか?

 

当時の俺の頭には、それしか無かった。

続く。