当時は光○信の岐阜支店で課長代理をしていた。

契約から帰社する途中に息抜きでJR岐阜駅内のカフェに入った時だ。

『天井が揺れているな、貨物列車でも通ったのかな?』

そんな呑気な内容を考えていた事を覚えている。

『お前、地震大丈夫やったか?』

支店に戻ると支店長からそう言われたが、よくある普通の地震かと思っていたので、

『地震なんて日本ではよくあるし、何でそんなに心配そうにしてるんだろう??』

支店長は心配性だなあ、と、そのくらいにしか考えていなかった。

家に帰り、何気なくテレビを点けた。

『あれ、こんな時間にSF映画なんてやってたかな?大洪水の映画??』

これが素直な感想である。

大前提、現実に起こっている事だとはハナから考えられなかった。

余りに非現実的な映像。

右上のニュース番組のロゴとテロップを確認して「初めて」それが”現実”だと理解した。

言葉にならなかった。

言葉にできなかった。

テレビを観ながら、ただ呆然とした。

何故か、自然と涙が出てきた。

同じ国に住む人たちが、苦しんでいる。

無力感、そして胸が締め付けられたのを覚えている。

あれから5年。

被災地の方々は、忘れたくても忘れられないこと、そして、忘れたくないこと・・・。

今も苦しんでいるだろう。

そして、その苦しみは俺なんかには想像がつかない事だろう。

原発が怖くて近づくことすら出来ない、使途不明の募金箱に小銭を入れる事しか出来ない。

小心者の俺。

そんな俺とは反対に、捨身取義の精神で現地でボランティアをしている方々。

ほんとうに尊敬する。

”尊敬”なんて言葉では表しきれない敬意。

改めて、被災地の方々に幸あらんことを、無理せず笑える日が来る事を祈るばかりだ。

そして何よりも”明日は我が身”。

人間、他人事に思うことほど愚かな事はないのだから。