キーリングの本社は京都市街地の一角にあるオフィスビルの空中階にある。

その日、俺は面接の為にそのビルを訪れた。

ビル入口からエレベーターに乗り、キーリングのあるフロアで降りた。

洒落たエントランスには受付用のビジネスフォンが1台。

俺は受話器を手に取ると、受付の内線に発信した。

はい、キーリングでございます。

 

快活な声の女性が電話口に出る。

俺は本日面接がある旨を伝えると、電話口の女性は”承っております”とだけ言い、エントランスで待つように案内した。

電話を置いてすぐ、先ほどの電話口の女性と思われる事務員の方がエントランスに来た。

会議室に通された俺は、珈琲を出された。

面接担当がもうすぐ来るようだ。

暫くすると会議室の扉が空き、40代後半くらいのセミフォーマルな男性が現れた。

室長をしている、山田です。

 

そう言って山田は俺に名刺を差し出した。

俺は名刺を受け取り、エントリーシートを提出した。

続く。